2013年4月19日金曜日

中国H7N9続報 感染ケースが87例に増加、厚労省がH7N9感染疑い患者への対応をまとめる、WHO Weekly Report 2など

中国H7N9の感染ケースが87例まで増加しています。

視察者「H7N9禽流感疫情最新消息:苏沪豫各增1例确诊病例浙江2例 全国共87例

  • 上海、江蘇省、河南省で患者が増えて、全国で87例となった。
  • 中国CDCの医師 Feng Zijianは、2例の家族クラスターは起こったものの、H7N9がヒトヒト感染を容易に起こすウィルスに変異したことを意味するものではないと強調した。


薬事日報「【厚労省】鳥インフル(H7N9型)疑い患者の対応まとまる

  • 標準的対応では、医療機関を訪れたインフルエンザ様症状の患者が、▽38℃以上の発熱と急性呼吸器症状がある▽臨床的または放射線学的に肺炎や急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が疑われる▽発症前10日以内に中国への渡航または居住歴がある――の要件を全て満たした場合、医療機関は保健所に患者の情報を提供する。


WHOが Weekly Report 2を発行しています。
Number of confirmed human cases for influenza A(H7N9) reported to WHO

以上。

2013年4月18日木曜日

中国H7N9続報 感染例が82ケースに、家禽と接触の痕跡がない患者、遺伝子解析結果など

感染例が82ケースに増加しています。

四川在线「中国已确诊82例H7N9禽流感病例 其中死亡17人

  • 中新社北京によれば、17日夜時点の感染者は82ケースに増加した。
  • うち死亡例は17ケース。
  • 国家衛生家族計画委員会によればヒトヒト感染の兆候はいまだにない。


家禽類に接触した痕跡がない患者が約40%いるとの報道が出て来ました。家禽と接触していないのであれば、空からウィルスが降ってきたのでしょうか。国家衛生家族計画委員会の発表とは真っ向から対立する内容です。

ロイター通信「中国の鳥インフルで死者16人に、政府は感染拡大の可能性を警告


  • 新京報は17日、中国疾病予防制御センターの曽光・首席専門家(流行病学)が感染者の約40%が家禽類に接触した明らかな形跡がないと指摘したと伝えた。「どうやって感染したのか謎だ」との発言が引用されている。
  • 中国疾病予防制御センターはロイターの取材に対してコメントを拒否した。

今後の報道で事実が明らかになることを期待します。


続いてNIIDが掲載している論文の翻訳より。H7N9の遺伝子解析の結果、ヒト感染がしやすい変異が起こっていることが判明しています。

[論文要約] 2013年2月から4月にかけて中国の患者から分離された新種の鳥インフルエンザA(H7N9)ウイルスの遺伝子解析

  • HAレセプターのヒト型受容体への結合性と、哺乳動物における効率的な複製をおそらく制御しているPB2 RNAポリメラーゼサブユニットにおけるいくつかの特徴的なアミノ酸変化(特にE627K)は、新型ウイルスがパンデミックになる可能性があることを強調するものである。


ソースに添付されていた表の文字が小さくて見づらかったので、一部の内容を転載しました。説明をご覧いただければわかるが、ヒトのレセプターに結合能力が上がる(ヒト感染しやすい)、NA阻害剤への感受性が上がる(タミフルが効きやすい)、マウスへの病原性が上がる(哺乳類で重症になりやすい)、などの特徴が見て取れます。

今後も変異がトラッキングされると思いますので、結果を注意深く見守りたいと思います。

2013年4月17日水曜日

中国H7N9続報 感染例が77人に増加、H7N9はステルス型インフルエンザ、など

感染ケースが1日で急増しています。

新华新闻新型禽流感确诊77例 专家称病例数可能继续增加

  • 中国の国家衛生家族計画委員会発表によれば、15日(月)6:00amから16日(火)20:00amまでに、14人の新しい感染例が増加し、上海で2人の死者が出た。
  • 濃厚接触者は経過観察におかれているがいまのところ異常はない。
  • 依然としてヒトヒト感染は見つかっていない。


次の記事はちょっとした衝撃だ。H7N9は、中間宿主の動物には弱毒性だが、人には強毒性を示す、最初のインフルエンザウィルスとのこと。いままで私は、このウィルスが強毒性に変異した痕跡およびを探してきたが、そんなものは最初からなかったらしい。

日経メディカルオンライン要注意! H7N9はステルス型インフルエンザウイルスだ

  • 今までの新型鳥インフルエンザウイルスの対策は、暗黙の前提として鳥などの中間宿主に対しても強毒性のウイルスを想定していました。鳥や豚などの大量死の報告を受けて、ヒトへの感染を防御する対策を打つ、というのが防疫の手順でした。ところが今回のH7N9はこうした常識を裏切るものだったからです。
  • WHOによれば、近代的な疫学研究が始まって以来、H7N9は鳥などの中間宿主に対して弱毒性インフルエンザウイルスがヒトに感染し、強毒性を示した初めての例となりました。つまり、H7N9は一種のステルス型の新型インフルエンザウイルスなのです。

この事実はつまり、鳥や豚などの大量死をトリガーにしたウィルス封じ込めや防疫体制がとれないことを意味している。また、いまのところ感染源となっている鳥がわからないので、日常生活のなかで警戒することも難しい。

いままで新型インフルエンザは、ヒトヒト感染が起こってから広まると考えられてきた。しかしこのウィルスに限って言うと、気が付かないうちに感染した鳥が日本に飛来し、突然日本国内で人の感染者が現れ、警戒する対象もわからないままじわじわと感染拡大するということも起こりうる。

困難ではあろうが、一刻も早く人への感染経路を明らかにして欲しい。

2013年4月15日月曜日

中国H7N9 WHOのリスク評価、OIEのQ&A、CDCの中国旅行者・居住者向けガイド

まずはWHOのリスク評価について簡単な要約。

インフルエンザA(H7N9)ウイルスのヒト感染に対するWHOのリスク評価

  • 人に感染しやすい遺伝子変化があり、他の鳥インフルエンザより感染しやすい可能性がある。
  • タミフルとリレンザに感受性があり(効きやすい)、抗ウイルス薬のアマンタジン、リマンタジンには抵抗性がある(効きにくい)。
  • 鳥に対しては低病原性である。中国での家禽への感染は確認されているが、その他の飼育されている鳥類、野鳥、豚などの自然宿主に関しては解明されていない。
  • これまでのところ、このウイルスは家禽の重篤な病気との関連はない。
  • 持続的な人から人への感染例は見つかっていないが、家族クラスター(患者の集積)の事例が2例あり、濃厚接触のありうる家族間や医療従事者に起こり得ることを示唆している。
  • 本事例に関する入国での特別なスクリーニングの勧告や渡航、貿易の制限を推奨するものではない。

現状、国内では情報収集を除いて特別な対応を必要としないと思われる。後述するように企業・組織のメンバーが中国に渡航するに際しては、注意喚起が必要と考えられる。


次にOIEのQ&Aより。「インフルエンザA(H7N9)に関する質問と回答


  • 野鳥はインフルエンザA(H7N9)ウイルスのキャリアとして同定されているのでしょうか?
  • 野鳥は、通常、呼吸器や腸管で鳥インフルエンザウイルスを運ぶことができますが、野鳥自身は一般的に症状はありません。野鳥は、鳥インフルエンザウイルスの感染源および媒介動物として歴史的に知られています。世界中で、野鳥における鳥インフルエンザウイルスの発生と特徴を監視するためのサーベイランスの仕組みが設置されています。野鳥では、通常の検査において、特定の種類のインフルエンザウイルスを見つけるための作業が行われています。これらのウイルスの大半は野生の鳥においては症状を起こしません。今日まで、インフルエンザ(H7N9)は、中華人民共和国の野鳥からは発見されていません


鳥には低病原性のため、キャリアの特定が難しいということ。これはつまり、対策が困難であることを示している。


続いてCDCの中国旅行者・居住者向けガイド。「What can travelers and Americans living in China do to protect themselves?


  • 鳥、豚、その他の動物に手を触れてはいけません。
    • 生死にかかわらず動物に手で触れてはいけません。
    • 生きている鳥、鳥市場からは遠ざかってください。
    • 動物のいる市場や農場に行くことは避けてください。
  • 完全に火の通った食品を食べてください。
    • 鳥類の肉は完全に火が通っていて(ピンク色の肉は避ける)熱い状態のものを食べてください。
    • 卵は固茹でを食べてください(半熟は避ける)
    • 動物の血が混じった飲食物は避けてください。
    • 路上の屋台での食事は避けてください。
  • 衛生状態を保ってください。
    • 手を頻繁に洗いましょう。
    • 手が衛生的だと確信できないときに、目・鼻・口に触ってはいけません。
    • 咳やくしゃみをするときは、ティッシュか袖で口・鼻を覆いましょう(手で覆ってはいけません)
    • 具合の悪そうな人と、ハグ、キス、カップや食器をシェアすることは避けましょう。
  • 中国旅行中あるいは旅行後に具合が悪くなったら医師にかかってください。
    • 熱、咳、呼吸の切迫などで具合が悪くなったらすぐ医師にかかりましょう。
    • 完全に回復するか、医師の許可が出るまで帰国は延期してください。
    • 帰国後に熱、咳、呼吸の切迫などで具合が悪くなったら、すぐ医師にかかり、中国の旅行から帰国した旨を告げてください。


以上。

中国H7N9続報 感染ケースが60例(うち死亡13例)に、WHOの Weekly Report など

6時間ほどニュース・ウォッチから離れていたら、さっそくアップデートがあった模様。


サーチナ中国でH7N9鳥インフル感染急増60人、死亡は13人

・中国政府・衛生と計画出産委員会は14日、同日午後5時までに確認されたH7N9鳥インフルエンザ感染者と死者の累計数を発表した。感染者数は前日の49人から60人に増加した。死者は2人増えて13人になった。

こちらでも同じ情報。新しい罹患者の詳細な情報あり。

視察者H7N9最新:上海新增3例 全国共60例

上海の新しい感染者は54歳〜78歳の比較的高齢な3人、いずれのケースも初期の発熱から病院でまともな治療を受けるまでだいたい3,4日かかっている。やはりインフルエンザ治療には初動が重要。

CDCがH7N9感染者が発見された場合の暫定ガイダンスを出している。なおこの中では今回のインフルエンザを「Novel Influenza A (H7N9)」つまり新型インフルエンザと言い切っている。臨戦態勢ということだろう。

Interim Guidance on Case Definitions to be Used for Novel Influenza A (H7N9) Case Investigations in the United States

WHOが先週からWeekly Reportを出している。今後、アップデートされていくだろうから、組織内でのブリーフィング資料として使えると思う(画像にリンクを貼ってあります)


以上。

2013年4月14日日曜日

中国H7N9短信 感染例が51例に、河南省でも2例

中国H7N9の感染例が少しずつ増えている。ヒトヒト感染が確認されていないのに、地理的に広範囲なエリアで感染が広がっていくということは、ウィルスを持った野生動物が広めているということだろうか?

光明网「确诊51例 死亡11人」

・14日午前10時発表の感染例は51例に増加した。

CRI Online「鳥インフル、河南省でも初の感染 男性2人」

・いままで感染例がなかった河南省でも新たに2例が判明した。


大きな地図で見る

地図を見ると、少し北に広がっているようだ。


2013年淡路島地震は南海トラフ地震の前兆か?

このたびの淡路島の地震は、学者のあいだで「阪神淡路大地震の余震」「南海トラフ地震の前兆」など、さまざまな意見がでているようです。

阪神淡路大地震を持って、西日本が地震の活動期に入ったと指摘する研究者グループがあります。実際のところはどうなのでしょうか?

「地震の日本史」という本で、M8〜9クラスの地震とその前兆・余震が繰り返されることを指摘している、寒川先生の説をご紹介したいと思います。

今日の動画(私の手製)は、最近の講演でときどき使うKeynoteファイルの一部を動画にしてYouTubeにアップしてみました。ページめくりが少し早すぎるかなと思いますが、みなさまのご意見を伺いたく。今後、このような動画を増やしていこうと考えています。